回数は重要?賠償金額を上げるために治療・リハビリにはたくさん通う

交通事故で受傷し、頚椎捻挫という診断を受けたAさんは、治療のために、3か月間、病院に週3回、合計36回通いました。これに対して、同じく交通事故で頚椎捻挫と診断されたBさんは、3か月間、病院に週1回、合計12回通いました。

この2人が最終的に受け取ることのできる慰謝料はどのくらい変わってくるのでしょうか?以下では、交通事故の場合の傷害の慰謝料がどのように計算されるのか、そして、通院回数が慰謝料の金額にどのくらい影響してくるのかを説明していきたいと思います。

1 慰謝料の額はどのように計算される?

慰謝料とは、被害者が交通事故に遭ったために受けた肉体的・精神的な苦痛を、精神的損害として加害者からお金で賠償してもらうものです。法律では損害賠償は原則としてお金によって行われることとされていて、精神的損害も、(名誉が毀損された場合の回復措置のような例外的な場合もありますが)基本的にはお金で賠償されることになります。

しかし、実際にケガの治療にかかった費用や車の修理代のように、損害が単純に計算できる財産的な損害と異なり、被害者がどのくらいの金額に相当する精神的損害を受けたかを計算するのはほとんど不可能です。そのため、交通事故以外の裁判で認められる慰謝料の金額は、過去の似たようなケースから、相場としてはこのくらい、というような形で決められることが多く、事件の性質によってはまったくのケースバイケースとなる場合もあります。

もっとも、交通事故の場合は、傷害の慰謝料を計算するに当たってある程度しっかりとした計算基準があります。それが慰謝料の計算の基礎となる金額の基準と、全体の治療期間や実際に入院・通院した日数のような時間的な基準です。

2 交通事故の傷害慰謝料の計算基準は?

傷害慰謝料の計算の基礎となる金額には、①自賠責基準と②任意保険基準、そして③裁判基準という3通りの基準があります。

①は法律で定められ、ある程度固定された金額ですが、低めに設定されており、②は任意保険会社がそれぞれ独自に定めている基準で、これも①と同じように金額は低く設定されているのが普通です。そして③は裁判をした場合に認められるであろう金額の基準で、金額としては一番高くなります。

実際にお金を支払うことになる任意保険会社は、なるべく金額を抑えるために①又は②の基準で金額を提示してくることが多く、これに対して被害者側の弁護士は、より多くの賠償額が認められるように③の基準を主張していきます。

さて、弁護士が入って任意保険会社と示談交渉をすることになりますと、通常は③の裁判基準を前提に話が進んでいきます。もっとも、裁判基準にも、入院が長期に渡るようなケガや、後遺障害が残るようなケガなどの重症の場合と、軽い打撲など、それほど重症ではない場合とでは、さらに基礎となる金額の違いがあり、また、計算方法も異なってきます。ここまでいろいろ細かく分けられていると頭がこんがらかってきそうですが、要するに、重いケガの慰謝料はできるだけ高い金額になるように、そこまで重くないケガはそれなりの金額になるように、という形で調整されているのです。

このような、金額や計算方法の違いについては、裁判所や弁護士が交通事故の損害賠償額の計算をするときに参考にする「赤い本」と呼ばれる本に、ケガの程度に応じた2つの計算表があり、入院・通院期間とそれに応じた金額が記載されています。

そして、重いケガについては、全体の治療期間に相当する表の場所の数字を見れば、大体の金額はわかります(もっとも、日数まで細かく考えると、日割り計算が必要となってきたり、入院と通院が混ざってくると、それぞれの細かい計算が必要となってきますが)。

問題は、そこまで重くないケガの場合です。

3 仕事に行くべきか?リハビリに行くべきか?

そこまで重くないケガの場合、治療期間もですが、実際に通院した日数がとても重要になってきます。というのも、重くないケガの場合に使われる表も、重いケガの場合の表と同じように、治療期間で慰謝料の金額が定められているのですが、重くないケガの場合は、通院期間を、実通院日数の3倍程度とする、という方法で計算するのです。したがって、通院回数がすごく少ないと、たとえ治療期間だけ長くても慰謝料の金額は微々たるものになってしまう可能性があります。

皆さんの中には、お仕事が忙しいというような事情でなかなか病院に通えないという方も多いと思います。しかし、痛みをこらえながら熱心に仕事に取り組んだ結果、慰謝料の金額が雀の涙ほどになってしまうのでは、本末転倒でしょう。

このような事態にならないために、できれば週3回、少なくとも週2回は、きちんと通院して、治療やリハビリを受けることをお勧めします。通院のために仕事を休んだ場合は、休業損害として、休んだ分の減給分は補償されますので、減給だけを気にされて休めないという方は、通院した方が結局得なのです(それ以外の事情で休めない方もいるでしょうが)。ちなみに、この「通院」とは、病院だけでなく整骨院も含まれるため、どうしても病院に通う時間がないというときは、近くの整骨院でリハビリを受けるという方法もあります。

結論として、AさんとBさんの例では、具体的な事情にもよりますが、通常、Aさんの方がBさんの倍以上の慰謝料を受け取ることができることになります。

ケガの重さの判断や適切な治療方針の立て方などは、個人の方がお一人で判断するには限界があると思います。当事務所では、交通事故に強い弁護士が、そのような判断も含めて、交通事故に遭われた方をサポートいたします。詳しくは当事務所までお問い合わせ下さい。