死亡事故

大切な人を一瞬の出来事で奪われてしまった悲しみは一生かけても受け入れるのは難しいことです。

今朝は元気に出かけていったのに、数日前に電話で話したばかりなのに、待っていたらいつものように帰ってきてくれるような気がしてしまう、これからの生活はどうしたらいいのか、時間がたてばたつほど理不尽だという思いがつのります。

喪失感、先の生活への不安、皆様はこの先様々な思いと向き合っていかなければいけません。
御遺族の方の先行きの不安が少しでも軽くなるよう、当事務所の弁護士が適切な賠償を受けるために尽力いたします。

死亡事故で適切な賠償を受けるためには

どの段階で弁護士に依頼をするべきかというご質問をいただきます。

死亡事故の場合は、特にすぐにご相談やご依頼いただくことをお勧めしています。葬儀の準備や片づけ、親戚への対応、相続手続の準備等行うべきことは多いですが、事故の初期段階の対応がその先の結果に影響します。

人身事故の場合、警察が実況見分を行い、実況見分調書を作成します。

この実況見分調書は、民事裁判においても重要な証拠となります。加害者は事故状況を自身の都合のいいように主張しますが、死亡事故の場合、被害者は立ち合うことができないため、加害者に有利な実況見分調書になってしまうことがあります。

弁護士が必要に応じて実況見分に立ち会い、被害者側の主張を補強します。

また、保険会社との交渉や裁判に備えた証拠収集として、現場の状態が変わらないうちに現場に赴いて事故態様や被害状況を記録しておく必要があります。

死亡事故の場合、身の回りのことがひと段落してからだと、機を逸してしまう可能性もあります。

死亡事故で請求できる賠償金

死亡事故で加害者に請求できる賠償金は「葬儀費」、「慰謝料」、「逸失利益」の3つです。

注意が必要なのは、葬儀費用、慰謝料、逸失利益の金額には「自賠責保険基準」、「任意保険基準」、「裁判所の基準」等のそれぞれ異なる支払い基準があることです。

保険会社は、示談金の提示額が基準に従った限界の金額だと言ってきますが、それは保険会社の基準に従った金額なのです。

賠償額が大きい死亡事故においては、任意保険基準と裁判所の基準に数千万円の差がでることもあります。

<葬儀費用>

葬儀費用は、葬儀そのものだけでなく、その後の法要、仏壇や墓石建立費等、一般的に必要とされる費用一式を含めることができます。
自賠責保険の基準と裁判所の基準では2倍近い差があります。

自賠責保険基準 原則60万円。  ※必要且つ相当な出費である場合は上限100万円
裁判所基準 原則150万円。 ※但し現実の出費が150万円を下回る場合はその実費
<慰謝料>

交通事故死亡慰謝料にも自賠責保険の基準と裁判所の基準があります。

(自賠責基準)

本人 350万円
遺族の慰謝料

(被害者の父母、配偶者、子)

請求者が1名の場合:550万円

請求者が2名の場合:650万円
請求者が3名以上の場合:750万円
※被害者に被扶養者がいる場合は、上記金額に200万円を加算。

(裁判所の基準)

一家の支柱の場合 2,800万円
一家の支柱に準ずる場合 2,400万円
その他の場合 2,000万円~2,200万円

「一家の支柱」 被害者の収入によって生計を維持している場合をいいます。
「一家の支柱に準ずる」 一家の支柱でない場合で、家事の中心をなす主婦、独身者であっても父母や兄弟に仕送りをしているもの等をいいます。

夫、妻、未成年の子の3人家族で、一家の支柱である夫が死亡した場合の自賠責保険の基準と裁判所の基準の慰謝料を比較すると以下のとおりになります。

(自賠責保険の基準) 1,200万円
※350万(本人)+650万円(請求者2名分)+200万円(被扶養者加算分)=1,200万円
(裁判所の基準) 2,800万円

自賠責保険基準が1,200万円、裁判所の基準が2,800万円ですから、1,600万円の差額が生じることになります。

<逸失利益>

逸失利益とは、被害者が交通事故で亡くなっていなければ、得ることができた利益のことをいいます。算定方法は以下のとおりになります。

なお、計算式中に「生活費控除率」という言葉がでてきますが、これは被害者本人が消費したであろう生活費の割合です。だいたい30%~50%の範囲になります。

Ⅰ 原則

収入×(1-生活費控除率)×労働能力喪失期間に対応するライプニッツ係数

Ⅱ 年金受給者の場合
高齢者で年金受給者の場合は、Ⅰに加えて次の金額も加算されます。年金の場合、受給額の大半を生活費が占めることになるため、生活費控除率は60%程度になります。

年金額×(1-生活費控除率)×平均余命の2分の1の年数に対応するライプニッツ係数

※ライプニッツ係数とは
「中間利息控除」とも言います。遺族は、本来被害者が生涯をかけて稼いだはずの金額を前倒しで一度に受け取ることになります。たとえばこの金額を銀行に預金した場合、本来は生じなかったはずの利息が利益として生じます。より実態に則した正確な賠償額に近づけるために、一度に受け取ったことによって生じた利益を控除する指数がライプニッツ係数です。

ご遺族の方から当事務所にご連絡を頂いた際には、突然の出来事で、事故のことをこの先どうすればいいのかわからないとったことを伺います。

皆様が一日でも早く平穏な生活を取り戻すことができるように、当事務所の弁護士が、事故に関する今後の手続きや保険会社とのやり取りや賠償額のこと、また、ご遺族の相続のことなどを説明いたします。

まずは一度ご相談いただき、今後のことを知っていただくことがご心配を解消する第一歩になると考えております。