入通院慰謝料について

入通院慰謝料の算定の方法には自賠責保険の基準と裁判所の基準があります。

被害者A
通院期間6ヶ月 (実通院日数50日)
被害者B
入院期間1ヶ月、通院期間6ヶ月(実通院日数50日)

※実通院日数とは実際に通院した日数のことをいいます。

この2つのケースで各基準を比べてみましょう。

その1.自賠責保険の基準

【通院期間の算出方法】
4,200円(1日あたり)× 通院期間

通院期間は次の①と②のうち、小さい数字の方を使います。

①総治療日数:入院日数と通院期間の合計値
②実通院日数:入院日数と実通院日数の合計を2倍にした値

【被害者Aさんの場合】
①180日
②50日×2=100

①と②とでは②の方が数字が小さいため、②を使用して、
4,200円×100日=42万円となります。

42万円がAさんの自賠責基準の入通院慰謝料となります。

【被害者Bさんの場合】
①30日(入院日数)+180日(通院期間)=210
②{30日(入院日数)+50日(実通院日数)}×2=160

① と②では②の方が数字が小さいため、②を使用して
4,200円×160日=67万2,000円となります。

67万2千円がBさんの自賠責基準の入通院慰謝料となります。

その2.裁判所の基準

裁判所基準での入通院慰謝料は下記のような表を使って計算します。

※入通院慰謝料「別表Ⅰ」

次の入院慰謝料と通院慰謝料の合計額が裁判基準の入通院慰謝料になります。

入院慰謝料:入院していた期間に応じて計算
通院慰謝料:総治療期間の通院慰謝料 - 入院していた期間分の通院慰謝料

【被害者Aさんの場合】
通院期間が6ヶ月間のため、表中Bの列の「6月」の116万円が通院慰謝料となります。
116万円がAさんの裁判所基準の通院慰謝料となります。

【被害者Bさんの場合】
① 入院の期間が1ヶ月であるため、表中Aの列の「1月」の53万円となります。

53万円がBさんの入院慰謝料です。

② さらに通院慰謝料の金額を算定します。

まず総治療期間を出します。
入院期間が30日あり、通院期間が180日あるため、合計の210日が総合治療期間になります。
Bさんの総治療期間は7ヶ月となり、表中B列の「7月」の124万円に相当します。

次に、ここから入院していた期間分の通院慰謝料は控除しなければいけないため、その控除する分を計算します。

入院していた期間は1ヶ月ですから、表中B列の「1月」の28万円が控除される通院慰謝料の金額となるため、124万円-28万円で96万円になります。

Bさんの通院慰謝料は96万円となります。

入院慰謝料53万円と通院慰謝料96万円の合計149万円がBさんの裁判所基準の入通院慰謝料です。

改めて、自賠責基準と裁判基準の入通院の慰謝料をそれぞれ比較すると次のようになります。

入通院慰謝料の自賠責基準と裁判所基準の違い

入通院慰謝料の算定の仕方も自賠責基準と裁判所基準で異なります。

裁判所基準の計算方法はやや複雑ですので、詳細はお尋ねください。

被害者Aさんの自賠責基準と裁判基準の入通院の慰謝料をそれぞれ比較すると
「自賠責基準 42万円」→「裁判所基準 116万円」
差額にして74万円、約2.7倍の違いになります。

被害者Bさんの自賠責基準と裁判基準の入通院の慰謝料をそれぞれ比較すると
「自賠責基準 67万2千円」→「裁判所基準 149万円」
差額にして81万8千円、約2.2倍の違いになります。

保険会社から不当に低い入通院慰謝料を提示されているという被害者の方、
まずは、弁護士にご相談ください。